先日、お客様とのお片づけの中で、もったいない。の気持ちについて印象深い話をしました。
キッチンの整理をしている途中で、未開封の調味料が出てきた時のことです。
お客様に確認すると、
「1年以上前にもらったものなんです。でも一度も使っていなくて……。これから使う予定もないと思います」
とのこと。
では、どうしましょう?と聞くと、
「使わないと思うんですけど……捨てるってどうなんでしょう?」
少し迷われたあと、
「食べるものを食べないで捨てるって……。もったいないというか」
とおっしゃいました。
ああ、なるほど。
これは「必要か、必要じゃないか」だけでは決められないんだな、と感じました。
食品を捨てることへの罪悪感がある。
「まだ使えるものなのに」と思うと、確かに「もったいない」と感じますよね。
だから、使わないことはわかっていても、捨てる決断ができない。
「モノが多いから片づかない」とは限らない
実はこのお客様のお家は、決してモノが多いわけではありませんでした。
「モノ、そんなに多くないですね」
そうお伝えすると、
「モノを増やすのがしんどいんです」とお客様。
ちゃんと知っている方なのです。
モノが増える分だけ、自分の作業や思考が増えるということを。
だから、できるだけモノを持ちたくない。
でも、一度家の中に入ってきたモノを「使わないから」と手放す判断もまた、しんどい。
使わないことへの罪悪感があって、
それでも「もったいない」から捨てられない。
でも人が生活すると、自分の意志に関わらず絶対にモノは増えます。
なのに、
「できるだけモノを増やしたくないのに、入ってきたモノを出すこともできない」
という、ちょっと苦しいループになってしまうのかもしれません。
ちょっとだけ「調味料の気持ち」になってみる
そこで私は、その調味料の立場になって考えてみましょうか。
と変な提案をしました。笑
買ってもらった。もらってもらった。
でも、ずっと使ってもらえない。
棚の奥でずっと待っている。
「いつか使ってもらえるかな」と待っているけれど、手を伸ばされることはない。
そして、持ち主が収納を開いて自分を見るたびに、
「使わなくちゃもったいない。でも、使う機会がないから使えない」
「だからといって、捨てるのも申し訳ないな」
と、少し暗い気持ちになって目をそらしたりする。
もしそれがずっと続くとしたら・・・。
その場所でずっと待ち続けるより、
自分を手放すことで、持ち主の気持ちが少し軽くなるなら、そのほうがいい。
調味料自身は、そんなふうに思ったりしているかもしれません。
私だったら、後者を選びたくなるかな。
そんな話をしました。
その調味料は役割を果たしたのかどうか?
そして、もう一つ。
その調味料は、ある意味では、すでにしっかりと役割を果たしていたのかもしれません。
おそらく調味料をくれた人は、
「これがあったほうがいいよね」
という気持ちで渡してくれたのかもしれません。
そして、お客様も、「家にあったほうがいいかもしれない」と思って受け取った。
そしたらその時には、
「ないかもしれない」という不安から解放され、安心することができていた。
だとしたら、その調味料は、
「実際に使う」という役割の前にすでに、「安心させる」という役割を果たしていた。
とも考えられないでしょうか。
そして今は、なくても大丈夫だとわかり、不安に思うことがなくなった。
つまり一つの役割は果たしていたのです。そう考えたら、
「もう手放していいんじゃないかな」
と思えてきたりしませんか。
「使わなかった=失敗」ではない
何度か確認しましたが、お客様自身も、
「必要ない」ということは、もうわかっているようでした。
ただ、最後の一歩が決められなかった。
そこで第3者として私が「じゃあ、手放してみましょうか」と声をかけることで、
お客様は調味料を手放すことができました。
「いいんですかね……」
と、何度も迷われながらも。
私は「いいんだと思います」とお伝えしました。
そして、
「買ったり、もらったりしたのに使わなかったから、失敗だった、とは限りません。
これも一つの経験だと思います。
今回の経験があるから、次は『本当に自分が使うもの』を選べるようになるかもしれない。
そうして学ぶことができたら、手放すモノにとってもうれしいんじゃないかなと思います」
とお話ししました。
すると、
「そうか。そういう考え方もあるんですね」
と、おっしゃっていました。
モノを手放すことでモノの入り方を考えるキッカケに
今回お話ではたまたまひとつの調味料のことでしたが、
でも、モノを手放すことをきっかけに、
「どうして私はこのモノを家に入れたんだろう」
「本当は必要だったのかな」
「次にモノを選ぶときはどうしたいかな」
というところまで考える良いきっかけになりました。
モノ手放す作業でありながら、モノが入るときのことも考える。
モノを手放すということは、
「いらないから捨てる」
だけではないのかもしれません。
自分が何を大切にしたいのか。
そんなことを考えるきっかけにもなります。
そして、もし使わなかったとしても、
「買わなきゃよかった」
「もらわなきゃよかった」
「使えなかった私はダメだ」
と、過去の自分を責めなくて大丈夫。
そのモノを家に入れたときには、きっとそのときなりの理由があったはず。
そして、実際に暮らしてみたからこそ、
「私はこれは使わないんだ」
と知ることができた。
それも、片づけから得られる大切な経験です。
一つモノを手放すことで、
次に入ってくるモノの選び方が変わる。
そんなふうに、片づけは「捨てること」だけで終わらず、これからの暮らしを選び直すことにもつながっていくのだと思います。
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